2018年4月28日土曜日

鈴木春信「山吹」


鈴木春信「見立て山吹の里」です。

太田道灌が突然の雨にあい蓑を借りようとしたら娘が山吹の花一枝を差し出しました。
「七重八重花は咲けども山吹のみのひとつだになきぞ悲しき」
「実のひとつだになき」「蓑ひとつだになき」というシャレ

さらに

ネタは、『後拾遺集』所収の兼明親王(醍醐天皇皇子)の歌
「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞあやしき」
だそうで・・・・

醍醐天皇といえば、父親宇多法王の希望を無視して菅原道真を太宰府に流した天皇。そんな時代の話。

そして

八重の山吹は、雄蘂(おしべ)が花弁に変化し、雌蕊(めしべ)が退化したものだから受粉もせず実もならないそうで・・・・

閑話休題

鈴木春信は、田沼時代に活躍した浮世絵作家ですが・・・・
浮世絵は庶民を対象とした、今で言えば漫画のようなもの。
当時の庶民がこのようなシャレを理解したとすれば、
江戸時代中期、庶民の教養の高さが推測されます。

実は、
今の漫画もかなり歴史的事実や宗教的教養について詳しく調べたものが多いのです。
教養があれば楽しみが深まる。
若者の積極的な学習に期待したいものです。